風と水


 風水は 海外では FengShui と訳される場合もありますが Wind &Water (風と水) と翻訳される場合があります。後者の方がその意味をよく表しています。

 

 

 何もない砂漠の平原は無風です。

 そこに3次元の立体が建てられる事によって 日向エリアと日影エリアが生まれ その気温差が建物周囲の空気を移動させる動力になります。

 受動的に得られたこの動力は 永年建物がそこにある限り 働き続け 建物の耐久性 室内の住環境へ影響を与えます。これが 「龍脈」です。

 龍脈とは 無味無臭の空気の移動の事を言い、オカルトや心霊現象のような物ではありません。

 

上にある図では 黒い濃い部分が日影エリア。季節と時間でその広さ量とも変化します。この黒いエリアには周辺の湿分が沈殿堆積してき、カビや雑菌の繁殖地帯となります。また白い日向エリアは周辺より より高温乾燥が進み、上昇気流を発生します。

 この相互作用で 黒いエリアに堆積したカビ雑菌は白いエリアに引っ張られ 建物内へ進入してきます。

 

 黒いエリアが濃く広いほど 多くのカビ菌が発生し 白いエリアが広いほど 建物へカビの侵入が増えます。午前中は西→東方向 昼頃は北→南方向 夕方は東→西方向 時間と太陽の角度によって建物は周囲の雑菌を吸い続けていき 劣化促進 健康被害を生み出します。

 

Feng Shui physics
Feng Shui physics

手順

① 敷地の緯度経度をGPSなどで検出します。

② 敷地で実際に 真北測量作業を行います。

③ 建物設計図から3次元モデリングを作成します。

④ 同時に時刻日影図(上図)を作成します。

⑤ 各ラインの日影濃度エリアごとに分け 地表面温度とその面積を掛け 熱比重数値を算出します。

⑥ すべてのエリアの熱比重数値を合計すると 1つのベクトルと熱比重差が算出されます。これが 建物の存在により受動的に発生した動力となります。


⑦ この熱ベクトルは 建物の配置角度によって 変化します。少しの回転移動で 常に涼風が吹く状態にも 無風に近い状態にも変えることができます。より住環境の良くなる状態を探していきます。(上図2)

⑧ 建物は 敷地境界線と並行に配置した状態とはなりません。完成すれば なんの動力も必要とせず 永年自然の涼風が流れる家とすることができ、省エネ 防カビ 建物の高耐久化の働きをします。建物がある限り この涼風は止まりませんので 数十年先には 金額面でも大きな差となって現れてきます。

 


⑨ 検討段階では トイレ・浴室などの湿気が溜まりやすい部屋は室内の空気を自然に排出できるように。リビングには良い風が入るようになど 素案を固めていきます。

 

自由設計ではありますが 与えられたその土地の状態に 建物を符号させていく作業となり、希望の間取りによって建物を回転移動させながら よい環境となる方向を探していきます。

 

おおきな作業の流れは以上です。次に各作業工程の詳細を 解説していきます。